「うちは財産がないから大丈夫」は危険?遺言書を書くメリットと種類を徹底解説!
「遺言書なんて大金持ちや資産家が書くものだ。うちは家族の仲が良いし、分けるような財産もないから関係ない。」
もし今、あなたがそう思っているとしたら少しだけ危険かもしれません。
実は、家庭裁判所に持ち込まれる遺産分割トラブル(いわゆる「争族」)の多くは、遺産総額が5,000万円以下、もっと言えば1,000万円以下のご家庭で起きています。
今回は、遺言書を書くことの本当のメリットと代表的な種類について、専門用語をできるだけ避けて分かりやすく解説します!
遺言書を書く「3つの本当のメリット」
① 親族間の泥沼の争いを未然に防ぐ
遺言書がない場合、残された家族は誰が何をどれくらいもらうかを全員で話し合う「遺産分割協議」を行う必要があります。
普段は仲が良い兄弟でも、いざお金や不動産が絡むと、
- 「私は親の介護をずっとやっていた」
- 「兄さんは昔、家を建てる時に援助してもらったじゃないか」
といった過去の感情が爆発することが多々あります。
遺言書で「長男に自宅を、次男に預金を」などと明確に指定しておけば、この話し合い自体をスキップでき、感情的な衝突を物理的に防ぐことができます。
② 残された家族の手続きの苦労を無くす
親が亡くなった直後、銀行口座は凍結されます。
遺言書がない状態でこの口座を解約するためには、亡くなった方の生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本を集め、相続人全員の実印と印鑑証明書を揃えなければなりません。これは想像を絶する労力と時間がかかります。
しかし、法的に有効な遺言書があれば、相続人全員の印鑑を集めることなく、指定された人がスムーズに預金の解約や不動産の名義変更を行うことができます。
③ 法定相続人以外の人に財産を残せる
法律上、財産を受け取れる人は決まっています。
例えば、息子の妻がどれだけ献身的に介護をしてくれても、法律上は相続人ではないため、原則として1円も財産を受け取ることができません。また、事実婚のパートナーにも相続権はありません。
「お世話になったあの人に財産を少しでも残したい」——そんな想いを形にできるのは、遺言書だけなのです。
遺言書の主な種類とそれぞれの特徴
遺言書にはいくつか種類がありますが、現実的に使われるのは主に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2つです。
① 自筆証書遺言(自分で手書きする遺言)
その名の通り、自分で手書きして作成する遺言書です。 ※現在は法改正により、財産目録についてはパソコンでの作成や通帳のコピーの添付が認められるようになりました。
【メリット】
- 費用がほとんどかからない
- いつでも自分のタイミングで自由に書ける
【デメリット】
- 形式不備で無効になるリスクが非常に高い(日付がない、印鑑がない、訂正方法の間違いなど)
- 紛失や、第三者に書き換えられるリスクがある
- 死後、家族が家庭裁判所に持って行き「検認」という手間のかかる手続きが必要
💡【補足】法務局の保管制度について
近年、作成した自筆証書遺言を法務局で預かってくれる「遺言書保管制度」がスタートしました。これを利用すれば紛失や改ざんのリスクがなくなり、死後の家庭裁判所での検認も不要になるため、デメリットの多くを解消できます。
② 公正証書遺言(公証役場で作る遺言)
公証役場という公的な機関で、法律のプロである公証人に作成してもらう遺言書です。作成には証人2名の立ち会いが必要です。(※行政書士は必要書類の収集や、法的な要件を満たす文案作成を行います)
【メリット】
- 公証人が作成するため、形式不備で無効になるリスクがない
- 原本が公証役場で厳重に保管されるため、紛失や改ざんの心配がない
- 家庭裁判所での検認手続きが不要で、死後すぐに手続きを進められる
【デメリット】
- 財産の額に応じて公証人への手数料がかかる
- 証人2名を用意する必要がある(※専門家に依頼すれば手配可能です。もちろん私もお引き受けできます!)
専門家が「公正証書遺言」を強く勧める理由
実務の最前線にいる立場から言わせていただくと、遺言書を作成するなら圧倒的に「公正証書遺言」をおすすめします。
せっかく家族のために書いた自筆証書遺言が、たった一つのルールの勘違いで無効になり、結局残された家族が泥沼の争いに巻き込まれるケースがまだまだ多く見られるからです。
作成時の費用や手間はかかりますが、それは「家族の未来の平和を買うための保険」と言っても過言ではありません。
まとめ:一番の書き時は「今」です
遺言書は亡くなる準備ではありません。残される大切な家族が、笑顔で明日を生きていくための「ラブレター」であり、「法的な盾」です。
「まだ早いかな」と思った時こそが、一番の書き時です。元気で判断能力がしっかりしているうちに、一度ご自身の財産とご家族の未来について考えてみてはいかがでしょうか?


